○曾爾村自然環境保全条例
平成3年3月12日
条例第3号
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、他の法令に特別の定めがあるほか曾爾村の自然環境、生活環境を保全し、水道法第2条第1項の規定に基づき、水源の保護ときれいな水を住民が享受する権利を守り、現在及び将来に亘り自然と調和した良好な生活環境を確保し、住民の生命及び健康を守ることを目的とする。
(1) 自然環境
自然の生態系に占める、森林、原野、大気等動植物の生存環境をいい、歴史的、文化的、遺産等をとりまく自然を含むものとする。
(2) 生活環境
人の生活に関する環境をいい、人の生活に密接な関係のある財産並びに動植物及びその生育環境を含むものとする。
(3) 開発行為
樹木の伐採、山河の形状変更、土地の形状変更、土石採取、建物その他工作物の設置、風致景観の損壊
(4) 水源地域
小規模水道及び水道法第3条第8項に規定する取水施設及び貯水施設に係る周辺地域で、水道及び小規模水道の原水の取水口並びにこれらの上流区域をいう。
(5) 水源保護地域
本村の水道及び小規模水道に係る水源及びその上流地域で、村長が指定する区域をいう。
(6) 対象事業
別表に掲げる事業をいう。
(7) 規制対象事業場
対象事業を行う工場その他の事業場のうち、水道に係る水質を汚濁し、又は汚濁するおそれのある工場その他事業場で、第19条第2項の規定により規制対象事業場と認定されたものをいう。
(水源保護地域の指定)
第3条 村長は、きれいな水を住民が享受する権利を守り、水源地域の水質を保全するため、水源保護地域を指定することができる。
2 村長は、水源保護地域を指定しようとするときは、あらかじめ曾爾村環境保全審議会の意見を聴かなければならない。
3 村長は、第1項の規定により、水源保護地域を指定したときは、その旨を直ちに公示するものとする。
4 前2項の規定は、村長が水源保護地域を変更し、又は解除しようとする場合について準用する。
(規制対象事業場の設置禁止)
第4条 何人も、水源保護地域のうち、本村の区域内において、規制対象事業場を設置してはならない。
第2章 村長の責務及び施策
(基本的責務)
第5条 村長は、住民が健康で快適な生活の確保のため、基本的かつ総合的な施策を策定し、実施しなければならない。
(自然環境の保全)
第6条 村長は、豊かな、自然環境が健康で快適な住民の生活のために欠くことのできないものであることと貴重な財産であることを認識し、自然の保護に必要な施策を講じて、良好な自然環境の保全に努めなければならない。
(生活環境の保全)
第7条 村長は、事業活動その他の理由によって生ずる水質の汚濁、大気の汚染等により、著しく、生活環境が悪化しないよう努めなければならない。
(環境保全のための財政措置等)
第8条 村長は、良好な環境保全をはかるため必要があると認めるときは、財政上の措置、技術的な援助等、必要な措置を講じなければならない。
(開発と保全の調和)
第9条 村長は、開発行為等に対し、自然環境、生活環境の保全を総合的に検討し、開発と保全の調和をはからなければならない。
第3章 事業者の責務
(基本的責務)
第10条 事業者は、環境の破壊を防止するために、自己の責任と負担において、必要な措置を講じなければならない。
(事前協議、開発行為の同意申請の義務)
第11条 水源保護地域のうち、本村の区域内において、対象事業を行おうとする者(以下「事業者」という。)は、あらかじめ村長に協議するとともに、関係地域の住民に対し、当該対象事業の計画及び内容を周知させるため、説明会の開催その他の措置を採らなければならない。
2 水源保護地域において汚水等(生活雑排水、し尿、排水処理水その他生活又は事業活動に伴い発生する水をいう。以下同じ。)の発生原因となる建築物その他の工作物を設置(改造並びに建築物の改築および増築を含む。)を行おうとする者は、あらかじめ村長の許可を受けなければならない。
3 第17条に掲げるいずれかの開発行為を行おうとする事業者は、あらかじめ村長に同意申請しなければならない。
(努力義務)
第12条 事業者は、法令及びこの条例に違反しない場合においても周辺の自然的、社会的条件に応じて環境の破壊の防止のため最大限の努力をしなければならない。
(協力義務)
第13条 事業者は、村、その他の行政機関が実施する良好な環境の確保に関する施策に協力しなければならない。
(開発行為についての責務)
第14条 開発済みの事業者並びに開発をしようとする事業者は、森林、河川等の良好な自然環境の保全をはかるとともに地域住民の安全を確保する等、生活環境の保全にも努めなければならない。
第4章 住民の責務
(基本的責務)
第15条 住民は、良好な環境の保全に関する意識を高め、健康で快適な生活が営めるように努めるとともに、自然を破壊し公害を発生させる行為を行ってはならない。
(協力義務)
第16条 住民は、村、その他の行政機関が実施する良好な環境の確保に関する施策に協力しなければならない。
第5章 事前協議、開発行為と勧告等
(開発行為の同意申請)
第17条 本条例に関する開発行為の同意申請業種は、次のとおりとする。
(1) 50a以上の天然材の伐採事業
(2) 延長100m以上の道路の開設事業
(3) 土石、砂利採取事業
(4) 産業廃棄物等の埋立処理事業
(5) リゾート観光開発及びこれに類する観光開発事業
(6) 1,000m2以上の宅地造成及びこれに準ずる土地造成
(7) 国の公害防止法及び奈良県公害防止条例にもとづく届出の対象業種
(8) 前各号に掲げるもの以外で村長が特に必要と認めた業種
(河川等の保全)
第18条 村長は、曾爾村の河川の良好な自然環境を保全するため、その流域をも含め水質向上に努めるとともに、必要な措置を講じなければならない。
2 村長は、水源保護地域における汚水等に係る排出基準を定めるものとする。
3 村長は、前項の排出基準を定めようとするときは、あらかじめ曾爾村環境保全審議会の意見を聴かなければならない。
4 村長は、第2項の規定により排出基準を定めたときは、その旨を告示するものとする。
5 前2項の規定は、排出基準を変更しようとする場合に準用する。
(事前協議、同意申請等に対する指導、勧告及び命令)
第19条 村長は、事業者が第11条の規定による協議をせず、又は同項の措置を採らず、若しくは採る見込みがないと認めるときは、当該事業者に対し、期限を定めて当該協議をし、又は当該措置をとるよう勧告するものとする。
2 村長は、第11条の規定による協議の申出があった場合において、曾爾村環境保全審議会の意見を聴き、規制対象事業場と認定したときは、事業者に対し、その旨を速やかに通知するものとする。
3 村長は、自然環境保全のため、必要があると認められるときは第17条の規定による、届出等をした者に対し、必要な措置を指導し、または勧告することができる。
4 村長は、前項に規定する勧告に従わない者に対し、当該開発行為の中止、計画の変更、原状の回復等自然環境及び生活環境の保全に必要な措置を取るべきことを命ずる事ができる。
(一時停止命令)
第20条 村長は、事業者が前条第1項の規定による勧告に従わなかったときは、当該事業者に対し、期限を定めて対象事業の実施を一時停止を命ずることができる。
(措置要請)
第21条 村長は水源保護地域のうち、本村の区域外において、対象事業を行おうとする者があるときは、関係地方公共団体に対し、適当な措置をとることを要請するものとする。
(広域水源保護の相互協力)
第22条 本村は、広域水源保護のため必要があると認めるときは、関係地方公共団体に対し、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の2第1項に規定する協議会の設置その他の協力を要請するものとし、関係地方公共団体等から本村に対し、当該協力の要請があったときは、これに応ずるものとする。
(環境保全審議会の設置)
第23条 曾爾村に環境保全審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、村長の諮問に応じ、曾爾村における水道水源の保護自然環境、生活環境の保全並びに開発に関する重要事項を調査審議する。
3 審議会は、委員15人以内で組織する。
4 審議会の組織及び運びに関し必要な事項は別に定める。
(組織)
第24条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、次の各号に掲げる者のうちから村長が委嘱し、又は任命する。
(1) 村議会の議員
(2) 学識経験を有する者
(3) 関係行政機関の職員
(4) その他村長が必要と認める者
(委員の任期)
第25条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員による委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は再任されることができる。
(会長及び副会長)
第26条 審議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき、又は会長がかけたときは、その職務を代理する。
(会議等)
第27条 審議会の会議は、必要に応じて会長が招集し、会長が議長となる。
2 審議会は、委員の半数以上の出席がなければ会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席した委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 審議会の庶務は、総務課において処理する。
(罰則)
第29条 次の各号の一に該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第4条の規定に違反した者
(2) 第20条の規定による命令に違反した者
(報告)
第31条 村長は、この条例の施行に必要な限度において、関係者に対し、必要な事項を報告させることができる。
(立入検査等)
第32条 村長は、この条例の施行に必要な限度において、開発行為及びその他の場所に立ち入り、状況を調査しもしくは検査し、必要な指示または指導を行うことができる。
第6章 雑則
附則
この条例は、平成3年4月1日から施行する。
附則(平成12年条例第9号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成12年4月1日から施行する。
附則(平成15年条例第21号)
(施行期日)
1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。
別表(第2条関係)
事業の名称 |
1 砕石業 2 砂利採取業 3 産業廃棄物処理業 |