○曾爾村生殖補助医療等助成事業実施要綱
令和7年6月20日
要綱第14号
(趣旨)
第1条 この要綱は、不妊に悩む夫婦に対し、不妊治療のうち、体外受精及び顕微受精(以下「生殖補助医療」という。)並びにこれに併せて行われる先進医療(以下「先進医療」という。)に要する費用の一部を助成するに当たり、必要な事項を定めるものとする。
(1) 夫婦 法律上の婚姻(以下「法律婚」をいう。)をしている夫婦。
(2) 医療保険各法 次に掲げる法律をいう。
ア 健康保険法(大正11年法律第70号)
イ 船員保険法(昭和14年法律第73号)
ウ 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)
エ 国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)
オ 地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)
カ 私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)
(対象者)
第3条 助成金の交付を受けることができる者(以下「助成対象者」という。)は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者とする。
(1) 生殖補助医療を受けた夫婦であって、生殖補助医療以外の治療法によっては妊娠の見込みがない又は極めて少ないと医師に診断された者。
(2) 治療開始日における妻の年齢が、43歳未満である夫婦であること。
(3) 夫婦のうち、どちらか一方が治療期間の初日から申請日までの間、奈良県内に住所を有し、かつ、申請日に本村に住民登録を有する者であること。
(4) 治療期間の初日から申請日までの間、夫婦のいずれもが医療保険各法に基づく被保険者、組合員又は被扶養者であること。
(5) 申請日の前々月の月末において、夫婦のいずれもが、本村に納付すべき村税等を滞納していないこと。
2 第1項の規定にかかわらず、次に掲げる治療等は助成の対象としない。
(1) 卵胞が発育しない等により卵子採取以前に治療を中止したもの。
(2) 夫婦以外の第三者からの精子・卵子又は胚の提供によるもの。
(3) 借り腹(夫婦の精子と卵子を使用できるが、子宮摘出等により妻が妊娠できない場合に、夫の精子と妻の卵子を体外受精して得た胚を、妻以外の第三者の子宮に注入し、当該第三者が妻の代わりに妊娠・出産するものをいう。)によるもの。
(4) 代理母(妻が卵巣と子宮を摘出した場合等、妻の卵子が使用できない、かつ、妻が妊娠できない場合に、夫の精子を妻以外の第三者の子宮に医学的な方法で注入して、当該第三者が妻の代わりに妊娠・出産するものをいう。)によるもの。
(5) 保険診療と保険外診療とを組み合わせて行ういわゆる「混合診療」による生殖補助医療等。
(6) 不妊症の診断がされていない者に対して、妊孕性温存療法及び妊孕性温存療法により凍結した検体を用いて生殖補助医療を実施した場合。
(助成金の額及び通算助成回数)
第5条 助成金の額等は、次表のとおりとする。
区分 | 対象となる費用 | 基準額 |
(1) 保険診療で実施した治療 | 保険診療により実施した生殖補助医療に要した医療費 | 左欄に定める費用のうち、健康保険法第63条に定める療養の給付について、同法第74条に定める一部負担金から、同法第115条に定める高額療養費(付加給付含む)を除く、本人が負担する額の2分の1以内の額(その額に千円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)とし、上限を5万円とする |
(2) 保険適用回数の上限を超えて実施した治療 | 生殖補助医療のうち、保険適用の回数の上限を超過したため全額自費診療となった生殖補助医療に要した医療費 | 左欄に定める費用のうち、本人が負担する額の2分の1以内の額(その額に千円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)とし、上限を15万円とする |
(3) (1)又は(2)に追加して実施した先進医療 | 厚生労働大臣が先進医療として告示した技術等のうち、第1欄の区分(1)又は(2)に追加して実施した生殖補助医療に係るものに要した医療費 | 左欄に定める費用のうち、本人が負担する額の2分の1以内の額(その額に千円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)とし、上限を5万円とする |
2 補助対象となる治療回数は次に掲げるとおりとする。
(1) 保険診療で実施した治療に対する補助の回数は、保険診療における算定回数の上限と同じとし、初めて保険診療で実施した生殖補助医療の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満である場合は、保険診療により実施する胚移植術の回数が6回(40歳以上43歳未満であるときは3回)に至るまでとする。ただし、令和7年3月31日以前に開始した治療において、既に保険診療により胚移植術を実施している場合は、その残りの回数を上限とする。なお、「治療期間の初日」とは、治療計画を作成した日(治療計画を作成しない場合は、採卵準備のための「薬品投与」の開始等の日)をいい、「1回の治療」とは、治療計画の作成(治療計画を作成しない場合は、採卵準備のための「薬品投与」の開始等)から、医学的に当該生殖補助医療が終了する(「妊娠の確認」等)までの生殖補助医療の実施の一連の過程をいう。また、以前に凍結した胚による胚移植を実施した場合については、以前に行った体外受精又は顕微授精により作られた受精胚による凍結胚移植も1回とみなす。
(2) 保険適用回数の上限を超えて実施した治療に対する補助の回数は、1子につき胚移植術の回数が2回に至るまでとし、令和7年4月1日を起点として算定する。
(助成の申請)
第6条 助成を受けようとする者(以下「申請者」という。)は曾爾村生殖補助医療費等助成金交付申請書兼請求書(様式第1号)に次に掲げる書類を添付して村長に申請しなければならない。
(1) 生殖補助医療費助成事業受診等証明書(様式第2号)。
(2) 生殖補助医療等に係る領収書若しくは証明書の原本又は原本の写し。
(3) 申請者の氏名、住所及び生年月日が確認できる書類の写し。
(1) 医療保険各法の規定による被保険者若しくは被扶養者であることを証する書類の原本又は写し。
(2) 医療保険各法の規定による限度額適用認定証の写し。
(3) 夫婦であることを証する書類。
(4) その他村長が必要と認める書類。
3 第1項の規定による申請は、治療期間の初日が属する年度の翌年度の末日までに行わなければならない。ただし、村長が特別の事情があると認めるときは、この限りでない。
(交付決定)
第7条 村長は、前条の規定による交付申請があったときは、その内容を審査の上、交付の可否を決定し、申請者に通知するものとする。
(交付)
第8条 村長は、前条の規定による交付の決定を受けた者に対して、助成金を交付するものとする。
(取消し等)
第9条 村長は、虚偽その他不正な手段により助成金の交付を受けたことが明らかになった者に対して、その決定の全部又は一部を取り消し、既に交付した助成金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。
(その他)
第10条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、村長が別に定める。
附則
この要綱は、公布の日から施行し、令和7年4月1日から適用する。
別表1(補助対象となる生殖補助医療)
治療内容 | 評価項目 | |
保険収載となった治療のうち、生殖補助医療に係るもの(男性不妊を除く) | 生殖補助医療管理料 | |
①採卵 | 採卵術 採卵数加算 抗ミュラー管ホルモン(AMH) | |
②採精 | (男性不妊に記載) | |
③体外受精・顕微授精 | 体外受精・顕微授精管理料 体外受精及び顕微授精同時実施管理料 卵子調整加算 新鮮精子加算 | |
④受精卵・胚培養 | 受精卵・胚培養管理料 胚盤胞作成加算 | |
⑤胚凍結保存 | 胚凍結保存管理料 | |
⑥胚移植 | 胚移植術 アシステッドハッチング加算 高濃度ヒアルロン酸含有培養液加算 | |
男性不妊 | ⑦Y染色体微小欠失検査 | Y染色体微小欠失検査 |
⑧精巣内精子採取術 | 精巣内精子採取術 | |
⑨採取精子調整管理料 | ||
⑩精液一般検査 | ||
⑪精子凍結保存管理料 | 1 精子凍結保存管理料 2 精子凍結保存維持管理料 |
別表2(先進医療として厚生労働大臣が告示したものうち各治療内容ごとに追加的に実施される場合があるもの)
別表1の治療内容 | 先進医療(申請)技術名 | 技術の概要 | |
先進医療として告示されている不妊治療関連の技術 | ③ | ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術 (PICSI) | ヒアルロン酸を含有する培地を用いて、成熟精子の選択を行う技術。 |
強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術 (IMSI) | 強拡大の顕微鏡を用いて、成熟精子の選択を行う技術。 | ||
④ | タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養 (タイムラプス) | 培養器に内蔵されたカメラによって、胚培養中の胚を一定間隔で自動撮影し、培養器から取り出すことなく、正確な胚の評価が可能となる技術。 | |
⑥ | 子宮内膜刺激術 (SEET法) | 胚培養液を胚移植数日前に子宮に注入し、受精卵の着床に適した環境を作り出す技術。 | |
子宮内膜擦過術 (子宮内膜スクラッチ) | 胚移植を行う予定の前周期に子宮内膜のスクラッチ(局所内膜損傷を与える)を行い、翌周期に胚移植を行う技術。 | ||
子宮内膜受容能検査1 (ERA検査) | 子宮内膜を採取し、次世代シークエンサーを用いて遺伝子の発現を解析し、内膜組織が着床に適した状態であるのかを評価する検査。 | ||
子宮内細菌叢検査1 (EMMA/ALICE検査) | 子宮内の細菌叢が、正常であるのか、異常であるのか、またその菌の種類の組成を判断する検査。 | ||
子宮内細菌叢検査2 (子宮内フローラ検査) | 子宮内の細菌叢が、正常であるのか、異常であるのか、またその菌の種類の組成を判断する検査。 | ||
子宮内膜受容能検査2 (子宮内膜受容期検査(ERPeak検査)) | 子宮内膜を採取し、RT―qPCRを用いて遺伝子の発現を解析し、内膜組織が着床に適した状態であるのかを評価する検査。 | ||
タクロリムス投与療法 (タクロリムス投与療法) | 反復着床不全に対して、免疫抑制剤(タクロリムス)の投与を行う技術。 | ||
着床前胚異数性検査 (PGT―A) | 胚から一部の細胞を採取して染色体の量の解析を行い、染色体数が正常な胚を選択する技術。 | ||
2段階胚移植術 (2段階胚移植法) | 先行して初期胚を移植し、後日、継続培養を行った別の胚盤胞を移植する技術。 | ||
膜構造を用いた生理学的精子選択術 (マイクロ流体技術を用いた精子選別) | 特殊な膜構造を用いて、成熟精子の選択を行う技術。 |